働きかけて行動するという、 子どもの主体的な活動を保障し、 それを教えてあげる、 やってあげるという考え方から、子ども自ら環境に援助するという保育に変えたとき、カリキュラムについて見直さなけ ればならない部分があります。
子どもに対するさまざまな刷り込み、 大人の思い込みから脱却して、その子自身の発達、個性、環境を優先 的に見て、計画しなければなりません。
国によって、貧富の差によって、男女によって、障がいの有無によって、人はさまざまな刷り込み、 思い込みをもっています。
そして、今の日本の保育に関する最大の刷り込みは、年齢です。
保育所保育指針に書かれている年齢とは発達過程を重視したものであり、 実際の年齢は目安にすぎません。
個々の発達の連続性を考えそれを丁寧に保障していくような保育に変えていかなければならないのです。
異年齢保育ということがいわれるようになり、今ではさまざまな園で実施されるようになってきました。
大きい子が小さい子を助け、 小さい子が大きい子から学ぶ。
できる子ができない子に教え、できない 子はできる子から学ぶ。
お互いが助け合うことや思いやりを学ぶ、よい方法だとされています。
しかし、3歳児 4歳児 5歳児と年齢で横に切っていた集団を、今度は縦に切って並べれば、それで本当の異年齢保育になるのでしょ うか。
同じ3歳児でも4月生まれと3月生まれの子どもの間 何歳児クラスという区切りは、 4月時点での単なる便宜上のくくり は11か月もの差がありますし、4月生まれの4歳児と3月生まれ児の間には1か月以下の開きしかないのです。
必ずしも5歳児が「で きる子」で、4歳児が「できない子」ではありません。
異年齢保育とは、単に学年やクラスをまたいだグループをつくっ て活動する、ということではないのです。
「学び合い」「育ち合う」ため には、生年月日などにこだわらず、それぞれの発達に注目し、そのと きの課題を解決するのに、どのような集団が最も適しているのかを考え、構成する必要があります。
参考文献:MIMAMORU見守る保育:藤森平司著