子どもの発達は、子ども自らが環境に関わりさまざまな経験を積んでいくこと、人 もの場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものになることで助長されます。
保育は、子どもたちのための環境を構成し、子どもの活動 を見て、さらに環境を再構成していくという、とどまることのない探求の道といえそうです。
子どもたちの活動の内容の大きな要素の一つに「場」があります。
たくさんの要素がそれぞ れ絡み合いながら、 子どもの活動にとって重要な意味をもつ「場」をつくり出してい るのです。
子どもが自ら環境に働きかけて活動するためには、場に対しても、その場のもつ意図を 与えられているというだけではなく、子ども自身が、自ら創造し、選択していけるような工夫も必要になってきます。 そのために私たちは、常に「場」という空間を考えていく必要があるのです。
保育施設は子どもが主体となり、自発的に働きかけるような環境を つくっていかなくてはならないでしょう。
子ども同士の関わりによって、 子どもは多くのことを学んでいきます 。
保育者は、そうした関わりが生まれるよう意 識しながら、子どもの発達課程を理解し、 保育環境を構成し、子どもの活動を見守っていかなければなりません。
保育施設における子どものための空間は、いうまでもなく生活と遊びの場です。そ して生活と遊びの両方に常に「学び」があるという意味では、すべてが学びの場でも あります。
保育者は子どもとの信頼関係を十分に築き、子どもが身近な環境に主体的に関わり、 環境との関わり方や意味に気づき、これらを取り込もうとして試行錯誤したり考えたりすることができるよう、 子どもとともによりよい学 びの環境を創造するように努めなくてはなりません。
保育者の専門性として、「環境を構成する力」 が求められているのです。
保育現場にとっての保育空間というものは、単に子どもを収容する場ではなく、とてつもなく大きな、そして多様な意味をもつものであることを意識し、その意味を確認し続ける必要があるのです。
参考文献:まなびのデザイン くうかん 藤森平司 著