保育室という空間は、子どもの生活とあそびにとって欠かせないものです。
子どもたちは、園に来ると「何をしようか」と 考えます。
そして「だれとしょうか」「どのようにしようか」「何 を使おうか」ということを考えます。
それが、動機であり、意欲です。
この思いは、子ども自身からわき出る気持ちであり、指示したり、やらせようとした途端に、その意味は違ってきます。
しかし、子ども自らやろうとしても、自ら使えるような時間、空間、物などが用意されていなければできませんし、一緒にやりたいと思える仲間がいなければなりません。
ヨーロッパでは、 保育室の真ん中に広場的な場を設け、 部屋 の隅にさまざまな子どもが自ら選択し、活動する場所をつくりました。
そのような場所を「コーナー」と呼びました。
また、アメリカなどでは、一斉に何かをやらせるのではなく、子どもが興味や関心をもったことが自らやれるような場を用意しました。 そこで、そのような場を「インタレストセンター」と呼んだりしました。
しかし、「コーナー(かど)」も「センター(中心)」も子ども主体といっても、結局はある閉じられた空間を用意し、そこでの活動を固定してしまうような気がします。
もっと、子どもによって流動的に空間が構成されたり、ほかの空間と融合したり、小集団から広がりのある人間関係がつくれるよ うな融通のきく空間を用意する必要がある気がします。
「活動」 という時間的経過を含めたその空間を、 わたしはゾーンと呼ぶことにしました。そして、そのゾーンは子どもによってゾーニング (ゾーンの創造)されていくことが重要です。
ゾーンは子ども自身の興味によってつくり上げられ、変化し、増えていく空間です。
保育者はゾーンの種類や数を限定 することなく、その質が豊かになっていくように子どもたちの興味と、その変化を常に意識しなければなりません。
参考文献:MIMAMORU 見守る保育:藤森平司著